プレゼンテーションでは「スライデュメント」という言葉があります。
これは、「スライド」と「ドキュメント」という2つの言葉を組み合わせた造語です。

「スライド」とはパワーポイントなどで製作したプレゼンスライドを指し、「ドキュメント」とは資料のことを指します。

見にくいスライデュメント

つまり、紙で配布する資料をそのままスライドとして、プレゼンで使用するものを「スライデュメント」といいます。

スライデュメントは使用しても良いのでしょうか?

まずは結論からお伝えします

いきなりですが、結論からお伝えすると、スライデュメントを使用することはNGです。
絶対にダメです。

配布資料としてもスライドとしても使用できるような資料は、中途半端な仕上がりになり、とても分かりにくいものになってしまうからです。

ですから、配布資料もスライドも必要な場合には両方に対応した別々の資料を制作することが必要になってきます。

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スライデュメントがダメな理由

プレゼンテーションでは、聞き手が1人、2人などの少人数の場合もありますし、大人数の場合もあります。
人数や規模によって会場の大きさが変わってきますが、プレゼンスライドを映し出すスクリーンから遠く離れている席の場合、文字やグラフが小さかったら見えませんよね?

スライデュメントはダメ

「いや、でも相手は少人数で会場も小さいから、多少文字が小さくても見えると思う」
なんて思っていませんか?

人数が多かろうが、少なかろうが、文字やグラフが小さく1枚のスライドに情報をぎゅうぎゅうに詰め込んではいけません。

なぜなら、情報がたくさん入ったスライドでは、パッと見では内容が伝わらず、聞き手が必死に理解しようと努めなければいけなくなり、聞き手への負担が大きくなってしまうからです。

そんなスライドでは見る気がしませんし、集中して話を聞く気もなくなってしまいます。

プレゼンはいかに聞き手にストレスを与えず、分かりやすく伝わりやすいように作るか、が重要なポイントとなってきます。

ですから、スライデュメントでは効果的なプレゼンができないと私は考えているんです。

スライデュメントを回避するために

スライデュメントになってしまう理由は、資料を作り直すのが面倒だからです。
確かに、資料をスライド用に作り直すのは手間がかかってしまいますが、いざ、プレゼンするときにはプレゼン用に作り直した資料のほうが確実に説明しやすくなることは明らかです。

スライデュメントでは、情報がたくさんあるので、
「この左上にあるグラフですが・・・」
といったように、見てもらいたいところをいちいち、伝えなくてはいけません。

また、小さくて見えないと判断した場合には
「このグラフの左の薄いグレーの棒は平成15年のものです。右側の緑の棒は平成16年のものです。」
と、見えない部分を細かく説明する必要が出てきます。

このように見づらいスライドを制作してしまう人には、これを言えば全て許してもらえるという、伝家の宝刀

「ちょっと小さくて見えないかもしれませんが・・」
「こちら、見づらいかもしれませんが・・」

が炸裂します!

でも聴き手からしたら、そんな言い訳なんか聞きたくない!

ですよ。

こういった余計な説明を入れることは、無駄ですし、「小さいんだったら大きく作り直せ」と聞き手にストレスを与えてしまいます。

「スライデュメントがよくないのはわかったけど、じゃあどうやって作ればいいんだ!!!」

日常の業務や現在抱えている案件が多くて、スライド作りに時間なんかかけらない、というお気持ちはよく分かります。

でも、スライド作りを適当に済ませてしまっては、せっかくのチャンスを失ってしまうことになります。
素晴らしい提案なのに、ちょっと手を抜いたばかりに、良い結果が得られないのは悲しいじゃないですか。

スライド作りは簡単ではありませんが、とにかく資料の内容を細かく分けてスライドにしていく、という作業をしていきます。
文字や図版やグラフを1枚のスライドに分けていく作業が必要となっていきます。

スライドを分割する1
スライドを分割する2

このように、スライドに詰め込まれた情報を分割して、それぞれで1枚のスライドとして制作していくことで、見やすいスライドが作れます。
とにかく「見やすく」を意識しながら、スライドを作っていってください。

そうなるとスライドがとても多い量になると思いますが、問題ありません。
1枚のスライドの情報量が少ないので、短い時間で次々とスライドが変わっていくため、聴き手としては飽きることなく聞いていられるようになります。

ですから、まずは資料に載っている情報を分割していき、スライドを作る過程で余計な情報だと判断したら、それらを排除していくようにしましょう。

スライデュメントのまとめ

スライデュメントは資料をそのままスライドに貼るため、作業効率は非常に良いです。

ですがその反面、プレゼンスライドとしての機能を果たしていませんし、聞き手にとっては歓迎できるものでもありません。

資料をスライド用に作り直すのは時間と労力が必要になりますが、プレゼン自体は非常にスムーズに行うことができますし、聞き手にとっても見やすく、印象に起こりやすくなります。

よっぽどのことがない限り、スライデュメントは避け、しっかりとスライド用に作り直すようにしましょう。

それがプレゼンを成功させるための一番の近道です!

監修者

監修者の写真

Null Japan株式会社 代表取締役

高村 勇太

プレゼン資料クリエイター/プレゼン資料の専門家

Microsoft® Officeスペシャリスト 認定

<略歴>

武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
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