素晴らしいプレゼンテーションには「ストーリーがあることが重要だ」と様々な本やネットで書かれていますよね。
人は論理的・合理的な説明だけでは感情が動かないので、プレゼンで商品やサービスを販売する場合、聴き手の感情に訴えかけるストーリーが必要になってくるからです。
商品・サービスの開発ストーリーを語り、聴き手がその商品を使った時にどのようなメリットがあるのかを伝え、感情を刺激していくプロセスがプレゼンには必要です。
聴き手のメリットについて詳しく知りたい方はこちら↓↓↓
⇒参考:「プレゼンではお客さんのメリットを伝えることが一番重要!」
さて、今回はストーリーの構築方法をお伝えするのではありません。
その中で確実に必要となってくる、ストーリーを引き立てるために必要となってくる「スパイス」についてお伝えしたいと思っています。
多くの本や、ネットで「ストーリーの大切さ」は書かれていますし、ストーリー構築ためのいろんな方法が書かれていますが、皆さんがひとつ見過ごしていることがあるんです。
それが、
敵を作ること
です。
そうです。
ストーリーには「敵」が必要なんです。
誰でも簡単にきれいなプレゼン資料が作れる
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プレゼンストーリーで敵を作ることの大切さ
映画やドラマ、漫画などを思い出してみてください。
スターウォーズにはダース・ベイダー
アンパンマンにはバイキンマン
など、人気のあるストーリーには、記憶に残る敵(悪役)が存在します。
そして主人公(ヒーロー)が敵(悪役)と対決し、最後に勝つんです。
他にも、恋敵やパワハラ上司、意地悪な姑など、敵はストーリーによってさまざまな形で現れます。
もちろん全てのストーリーにわかりやすい敵がいるわけではないんですが、敵を作ることで主人公に感情移入しやすく、ストーリーに引き込みやすくなることは間違いありません。
プレゼンにおける敵として一番分かりやすいのが、あなたのビジネスにおける「競合他社」ですよね。
どんな業種でも必ず競合している企業がいるはずです。
Appleもまた、敵を明確にすることで根強いファンを獲得しました。
1984年アメリカのスーパーボウルの試合で流れたAppleのCMが当時話題になりました。
それは、企業向けコンピューター市場を独占していたIBMを、邪悪な存在として揶揄するようなCMで、Appleはすべてを支配下に置こうとしてるIBMに立ち向かうヒーローとしての存在を示したんです。
その後もAppleのスティーブ・ジョブズはIBMを名指しで攻撃し、自社よりもはるかに大きな大企業相手に戦いを挑みました。
また、「iMac」では、Windowsをダサいパソコン、Macをクールでかっこいいパソコンとして位置付けたテレビCMも印象的で、このようなマーケティング戦略によって、「Apple製品しか興味ない」というApple信者が誕生しました。
ここまで敵を罵倒してしまうと、色々な弊害が起こるため、なかなかできませんが、このAppleの歴史から学べることは、敵を明確にすることで熱狂的なファンを獲得することができる、ということです。
私が会社員時代、あるコンペ用資料を作っている時なんかは、競合企業が提案してきそうな案に対するデメリットを伝えるプレゼンもしていました。
「私達は色々検討しました。例えばこのA案。これではコストは安くても長い目で見ると高くついてしまいます。そこで私たちがご用意したこのB案なのですが・・」
などといったように、競合が提案するであろう案のデメリットを聴き手に教えてあげるのです。
また、コンサルタントや広告代理店なんかも、
「こういったコンサルタントには気をつけてください」
「こんな広告代理店は信用しないほうが良いかもしれません」
というようにお客さんにアドバイスすることで、競合はお客さんの敵として認識され、自分は味方であることを示し、顧客を獲得したりもしています。
敵を明確にしてお客さん(聴き手)と共感することができれば、一気にあなたの信頼感は高まり、あなたの話に耳を傾けてくれるのです。
敵を作ることは決して悪いことではありません。
だってあなたの商品・サービスが素晴らしく、競合の商品・サービスの質が悪いのであれば、それを買ってしまったお客さんにとっては大きな損失になります。
だからこそ、お客さんを守るために「こういった商品・サービスはよくないですよ」とお客さんに教えてあげる義務があると思います。
競合の悪口を言う必要はありませんが、もしもあなたの提案が素晴らしいものであれば、その素晴らしさを強調するために競合を比較対象にすることが必要です。
競合他社を敵として伝えられない
競合他社が見つからない、ということはないと思いますが、どうしても競合を敵としてお客さんに伝えることには抵抗がある、という方もいると思います。
また、競合を意識する必要もないほど、あなたのビジネスが独走状態だったとする場合も競合を敵として伝えることはできませんね。
でも、言わせていただきますね。
それでも敵は必要!だということを。
もう一回、映画や漫画の話に戻ります。
例えばドラえもんについて考えてみましょう。
映画版は別として、ドラえもんには明確な敵は出てきません。
でも敵はしっかりといます。
ストーリーによって違いますがその都度、敵は姿を変えてそこにいます。
たとえば、のび太のなまけグセだったり、外国人と話したいという欲求であったり、遠くへ自由自在に行けないというストレスだったりします。
そうです。敵はお客さんの心の中にいるんです。
つまりお客さんが抱える悩みや不安もお客さんからしたら立派な敵なんです!
(敵が立派というのも変ですが・・・)
化粧品の場合なら敵は競合他社ではなく、お客さんが抱える悩みですよね。
それは「乾燥」とか「しわ」とかだったります。
乾燥に悩むお客さんからしたら、乾燥は憎むべき敵です。
英語を学びたいけど、いつも三日坊主で終わってしまう心の弱さは、英語をマスターしたい人にとっては敵ですよね。
あなたが、お客さんの心の中にある悩みや不安を見つけ出し、敵として認識することでお客さんと共感することができます。
世の中に星の数ほどあるストーリーの中で、登場人物がみんな良い人で、なんの悩みも不安もなく、敵が出てこないストーリーに誰が興味を惹かれるでしょうか。
あなたのプレゼンも同じです。
ずーーーっと、商品の特徴や機能だけを話しているプレゼンに興味を示してもらえる可能性はどれだけあるんでしょうか?
それよりも、プレゼンの中で敵を明確に設定して、そのための解決策を提示していくほうが、お客さんにとってもあなたにとっても素晴らしいプレゼンになると私は考えています。
物語を魅力的にする敵をつくるための方法
競合他社を敵として設定した場合には簡単ですよね。
競合の劣っている点を挙げて、それがいかにお客さんにとってリスクになるのかを伝えたうえで、自社商品やサービスであれば、その問題を解決できることを伝えるのです。
難しいのは、競合他社を敵と設定しない場合です。
先ほどもお伝えしましたが、その場合にはお客さんの心の中にある敵を見つけ出さなければいけません。
化粧水を欲しいお客さんが、「乾燥」に悩んでいるのか「シミ」に悩んでいるのかを把握しなければ、まったく見当違いの敵を設定してしまうことになるんです。
ですから、あなたがプレゼンをする相手のことをできるだけ知ることが大切です。
どんなことに悩んでいるのか、不安を感じているのかを直接聞くことが難しければ、同じような悩みを持っていそうな同僚や友人に話を聞くのもいいですし、Yahoo知恵袋やSNSを活用して質問してみることもいいでしょう。
とにかく、どんなことに悩みを持っているのかを知る努力をしましょう。
悩みや不安は、大きく5つのニーズに分けることができます。
- 健康(ストレスを減らしたい・ダイエットしたい・病気を治したいなど)
- お金(楽に儲けたい・借金を減らしたい・転職したいなど)
- 愛(結婚したい・デートしたい・モテたい・子供が欲しいなど)
- 承認(誰かに認められたい・見栄を張りたいなど)
- 楽(面倒を避けたい・時間を短縮させたい・簡単にすませたい)
これら5つのニーズを意識して、お客さんが抱えている悩みや不安、怒りなどに注目すると、お客さんが共感してくれる「敵」を見つけ出すことができるでしょう。
プレゼンで語るストーリーの作り方について知りたい方はこちら↓↓↓
⇒参考:「感情を動かせ!プレゼンを成功させるためにストーリーを伝えることが重要!!」
プレゼンでは敵をつくることのまとめ
ストーリーには敵が必要です。
敵がいないと盛り上がりません。
敵は、競合他社の存在のように、目に見えるものだけではありません。
お客さんの心の中にある悩みや不安、怒り、恐れを見つけ出し、敵として設定することでお客さんの共感を得ることができます。
あなたのプレゼンでは、どんな敵を登場させ、見事にやっつけることができるのかを考えてみてくださいね!
監修者
<略歴>
武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
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