【この記事がおすすめの人】

  • プレゼンで商品・サービスが売れない
  • 営業してもうまく価値を伝えられない
  • 他社商品との差別化がうまくいかない

ビジネスや営業、プレゼンで商品やサービスを販売するとき、特徴や機能だけをきっちり伝えれば完璧だと思っていませんか?

もちろん、それらをちゃんと伝えることは大切です。
ですが、それだけでは、購買意欲は刺激されません。

つまり、商品・サービスを買おうとは思わないんです。

どういうことか?

私たちは、論理的思考だけではなく、感情で物事を判断するからです。

【実験】
脳科学の分野では、脳の中にある扁桃体という部分が、人の感情をコントロールしていると言われています。
ある実験で、扁桃体の働きを制限させると、感情がうまくコントロールできなくなり、物事を決められなくなってしまいました。
ビジネスストーリー

感情は物事を決める上で、重要な役割を担っていることが研究の結果、明らかになっているんです。

だからこそ、商品・サービスを販売するために理屈だけで説明するのではなく、感情に働きかけて感情を高ぶらせることが必要になります。

感情へのアプローチについてもっと知りたい方はこちら↓↓↓

⇒参考:「説得力のあるプレゼンとセールストークを手に入れろ!」

そして、見込み客の感情に働きかけるための方法の1つとして有効な手段が「ストーリーを語る」ことなので、今回は「ストーリー」についてお伝えしていきます。

なぜストーリーが重要か

ストーリーは共感を生み出す

洗剤やティッシュなどの生活必需品などではない限り、商品を買うか買わないかの判断をするとき、感情が決断に働きかけます。

そのため、販売する側としては、商品の良さを感情に訴えかけたいわけですが、その際には「ストーリー」を使うことで、より簡単に伝えることができます。

なぜ、ストーリーが良いのかと言うと、ストーリーは共感を生みだすからです。

たとえば、

Aさん
「私は入社して10年になりますが、入社当時、失敗ばかりで先輩に怒られてばかりでした。でも良いものを作ろうと研究を重ね、そのおかげで今回、この商品を開発することができました。」

Bさん
「私は入社して10年になりますが、入社当時から、失敗したことがなく、先輩からも後輩からも頼られる存在として、第一線を走ってきました。そして今回、これまでに培った経験によってこの商品を開発しました。」

という2つのストーリーを語られた場合、どちらに共感しますか?

おそらく、ほとんどの人が「Aさん」に共感したんじゃないでしょうか?
だって、入社当時に失敗したことのない人なんてほとんどいないですよね。

さらに、「失敗した経験」というのがストーリー性を生み出しています。
少年ジャンプの主人公が挫折や敗北を経験して強くなるのと同じですね。

確かに失敗したことがない「Bさん」の方が、優秀な人なのでしょう。
もしかしたら、商品自体も良いものなのかもしれません。

自腹でお金を払って購入するなら「Bさん」の方が賢明だとも考えられます。

でも、感情がそれを許してくれません。
なぜなら「Bさん」には共感できないからです。

感情には逆らえない

もちろん「Bさん」に共感する人もいます。
それはそれで、いいと思います。
これは決してどれが正解でどれが間違いか、という話ではありません。

一番やってはいけないのは、両方の人の感情に訴えかけるストーリーを作ろうとして、結局はどちらにも受け入れてもらえない、当たり障りのないストーリーになってしまうことです。

このことからもわかるように、あなたしか語れないストーリーを伝えることで、たとえ同じような商品・サービスを扱っている競合がたくさんあったとしても、「差別化」を図ることができるんです。

ストーリーで差別化ができる

ただし、ストーリーといっても、感動を与えるとか面白いとかそういうことではありません。
全ての商品・サービスに感動のストーリーを付随させることはできませんし、無理に感動を誘おうとすれば、シラけてしまうのは明白ですので、そこのところは気をつけましょう。

ここだけの話ですが、まるきり嘘じゃなければ、多少の脚色はアリだと思います!

タイプを見極めてストーリーを使い分ける

ストーリーには大きく分けて3つのタイプがあります。
それが「共感型」「ブランド構築型」「イメージ喚起型」です。

ストーリーの3つのタイプ

先ほどの例に挙げたストーリーは「共感型」です。
あなたがどのような人物なのかを伝えることで、あなたの人間性に共感し、商品・サービスに興味を持ってもらうことができます。

共感型

「共感型」では、誰から商品を買うのか?
という観点で見たときに強い効果を発揮します。

たとえば最近では、スーパーなどで売っている野菜がどこの誰が作っているのか、という「生産者表示」がされていたりしますよね?

なぜなら、どんな生産者なのかを知ることで安心感を得ると同時に、生産者の顔写真を見て人柄などを想像し共感することができるからです。

生産者の顔が見える

先ほどもお伝えしましたが、あなたの個人的な話が「共感」を得るためのきっかけになります。

あなたが、どのような経緯でこの商品・サービスを提供することになったのか。
特に効果的なのは、「巻返し型の物語」です。

ドラゴンボールもワンピースも「巻返し型の物語」ですね。

「こんな失敗や苦労をしたけど、乗り越えるきっかけがあり、今こうして素晴らしい商品ができました」
というような失敗や苦労から巻き返して得た成功体験を語ることは多くの共感を生み出します。

そして共感を生み出すことができれば、 共感から信頼へと繋がり、その人の商品に興味を持つようになってくれます。

ブランド構築型

物語にはブランド力を生み出す力がある

1900年代前半、まだ女性が社会に進出しづらい時代に、「女性の解放」のシンボルとして、シックでシンプルなファッションを世に送り出した「CHANEL」

遠くへ買い物に行く妻のことを思い、無線機の発電用エンジンを自転車の補助動力にすることを発案し、自転車用補助エンジンにつくり変えて売り出した「HONDA」

シャネルとホンダ

このように有名ブランドには、様々な物語があります。
なぜなら、物語こそが、作り手の想いそのものだからです。

商品やサービスが生まれた経緯やそれまでの葛藤、苦労、信念を伝えることで、想いが宿り、魅力的な商品・サービスとしてブランド化されていくのです。

ブランド化には歴史が必要?

えっ?

歴史ですか?

ブランドを構築するには歴史が必要だって!!?

確かにそうかもしれません。
「ブランド」と聞くと長い歴史の中で培われるモノというイメージがありますよね。

1年2年ぐらいの歴史ではブランド化されるはずもないし、お客さんの心に響くはずがないと思っていますね?

でもそんなことはありません。

ブランド構築に時間の経過は関係ない

オーストラリアの起業家でベストセラー作家でもあるダニエル・プリーストリーは著書『市場独占マーケティング(ダイレクト出版)』の中で、物語を使い成功している時計メーカーについて次のように述べています。

「男物の高級時計を作るのは簡単だ。材料は2つでいい。スイスに拠点を置くことと、100年の歴史を持つこと。一方でブレモンという時計メーカーがある。ブレモンは2002年創業であるが、ストーリーを使い市場を席捲している」

ブレモンという時計メーカーは日本ではあまり馴染みがありませんが、競争の激しい高級腕時計の業界で、その名を轟かせています。

ストーリーで差別化ができる2

ダニエルによると

「ブレモンの成功の理由は、メーカーの国籍や歴史に惹かれて買うわけではないという点にある。人は、それぞれの時計が語る”ストーリーに惹かれたとき”その製品を買う」

と説明しています。

さらに

「ブレモンは、飛行機事故で父親を失った兄弟が、パイロットのために時計を作りたいという夢から始まり、兄弟が作る時計にも一つ一つストーリーがある。

B-2ステルス爆撃機のパイロットが、漆喰の機体に合う漆黒の時計が欲しいと要望し、完成した時計のストーリー。
超音速下での戦闘機の座席射出を想定し、耐用テストを行っているのはブレモンだけだというストーリー。

他にもたくさんのストーリーがあり、新製品を売り出す時、ブレモンはまずストーリーを語る」

と説明しています。

この物語では品質の高さが証明されると共に、父を飛行機事故で失った兄弟の想い、そして、商品一つ一つに語られる物語が、私たちの胸を踊らせるんです。

ほとんどの人はB-2ステルス爆撃機に乗っていません。

ですから、そのような時計は必要ないのですが、もしも友人に「この時計何?」と聞かれたときに、「B-2ステルス爆撃機と同じ漆黒の時計なんだ」と答えることで、所有者もストーリーを語ることができ、共有することができるんです。

物語の強み

以前、私は祖母が昔使っていた古びた長財布を譲り受け、大切に使っていました。
周りの友人からは「財布変えたら?」とアドバイスを受けます。

無理もありません。本当にボロボロでしたから。
というか、破れた部分をセロテープで補強していましたから。

でも、「ばあちゃんが昔使っていたんだ」と話すと、友人は最初とはまったく違った反応をみせました。
今まで”小汚いボロボロの財布”だと思っていたものが”代えのきかない貴重な財布”へと変化したんです。

ストーリーで価値が変わる

商品に物語が付随するということはこれほど、強力なことで、商品そのものの価値を180度 変化させてしまうんです。

だからこそ物語を伝え、商品・サービスの魅力を最大限引き出すことで、唯一無二のブランドのように、あなたの商品・サービスに強い価値を与えることが必要なんです。

イメージ喚起型

「商品説明とは脳内に動画をインストールすること」と話すのはアメリカの広告業界で有名なドルー・エリック・ホイットマンです。

商品・サービスを買ってもらうためには、特徴や機能だけを伝えるのではなく、使ったとき、利用したときのことを想像させることが大切です。
なぜなら、人は商品・サービスを購入するとき、自分にとってどんな未来を提供してくれるのかを想像するからです。

また、私たちは買ってから後悔することをとっても嫌うので、そうならないためにも、買ったあとにどんなメリットがあるのかを想像します。

ストーリーを使い、商品を魅力的に見せることで、成功を収めている企業は多くありますが、
たとえば、家電を製作している「BALMUDA(バルミューダ)」もまた、ストーリーを使い成功している企業のひとつです。

家電というと、パナソニック、ソニー、日立、東芝、など大手企業が軒を連ねています。
そのような中、2003年にバルミューダは誕生しました。
バルミューダの名前が広く知られるきっかけは、2万5千円もするトースターが大ヒットしたことに起因します。

高額にも関わらず、このトースターが成功した背景には、デザイン性の高さ、シンプルな機能、質の高さなどが挙げられますが、”物語を通して体験を販売している”というバルミューダの哲学にあると言えます。

バルミューダの商品は機能をつらつらと伝えるのではなく、その商品を使うと、私たちの生活にどのような変化が訪れるのかを教えてくれるんです。

「BALMUDA The Toaster」という商品はトースターを使って焼きあがったクロワッサンの美味しそうな断面写真とともに、パン屋さんで食べるサクサクの食感と、ほんのり香るバターの香りを自宅で再現できることが伝えられています。

バルミューダ

出典:BALMUDAホームページ

視覚的な情報と文字による情報で、私たちの想像力は一気にかき立てられ、自宅でこのトースターを使い、朝から美味しいパンを食べているところを想像し、その生活を手に入れたくなります。

つまり、商品を購入する前に疑似体験をさせることで、購買意欲を刺激しているんです。
ですからそのために物語で伝えることが非常に重要な要素になるということを覚えておきましょう。

ストーリーに必要なもう一つの要素について知りたい方はこちら↓↓↓

⇒参考:「プレゼンはストーリーが大切!でも誰も語らないもう一つの大切なこと」

誰でも今すぐ使えるストーリーの型

ここまで、3つのストーリーの型についてお伝えしてきましたが、もしかしたら「ちょっと難しそう」と感じている方もいるかもしれません。

そんな方のために、商品紹介やプレゼンで、誰でも簡単に使える王道スタイルのストーリーの使い方をご紹介します。

それが、
「超基本型」
です!

超基本型とは、現状から未来までのストーリーを語ることで、共感を得ながら価値を伝える方法です。

現状、お客さんが困っていることや悩んでいることがありますよね。
そういったお客さんは、その悩みから開放されたいと思っています。

借金で悩んでいる人は借金を完済したいわけです。
肥満に悩んでいる人は痩せたいわけです。

つまり、現状の悩みから、自分が希望する未来を得たいわけです。

現状:肥満

未来:痩せる

ですよね。

そしてあなたの商品やサービスが、お客さんの現状と未来の架け橋になることを伝えてあげればいいんです。

現状:肥満

商品:痩せるサプリメントを1日1回飲む

未来:痩せる

この流れをストーリーとして伝えてあげてください。

今、なかなか痩せないと悩んでいませんか?

色々なダイエットを試してもすぐに諦めてしまったり、せっかく続いたとしても思うように効果がなかったり。

そんな自分を否定的に考えてしまうかもしれません。

でも、今回ご紹介するサプリを1日1回飲んでみてください。
もちろん、多少の食事制限や運動は必要です。
そしてこのサプリはそれらを何倍もの効果に引き上げてくれるんです。

このデータをご覧ください〜〜〜
そして実際に使った方の感想をご覧ください〜〜〜

皆さんこれまでダイエットがなかなか成功しなかった方も、このサプリを飲むことによって理想の未来を手に入れることができました。

(例えがダイエットサプリということで、ちょっと怪しく感じるところは大目に見てください・・・)

このように、お客さんが悩んでいることに対して、自社商品やサービスを使用することで、理想の未来を手に入れられる、という流れを営業やプレゼンに組み込むことで、立派なストーリーになり、感情を刺激してくれます。

ストーリーで商品やサービスに価値を高めるためのまとめ

ここまでで、ストーリーが重要な役割を担い、大きな効果を生み出していることはわかってもらえましたか?

物語を語ることはいくつもの素晴らしい効果を生み出します。

個人的なストーリーには「共感」を生み出します。
開発者の苦労や工夫、信念を伝えれば「ブランド力」が構築されます。
使った時のことを「イメージ」させることができれば、商品を購入する前に、ストーリーによって疑似体験することができます。

これらのストーリーの使い方はビジネスによって変わってきますし、どれを使うのが正解というわけではありません。
あなたが一番伝えやすいストーリーを伝えることが大切だと私は考えます。

体を鍛えるためのジムを経営しているのであれば、パーソナルトレーナーが昔、細くてガリガリだったころの個人的なストーリーを伝えてもいいですし、ジムに通ったあとの体の変化を想像させることでもいいですし、両方伝えてもいいでしょう。

このように、どんなビジネスにも1つや2つ、伝えたいストーリーがあるはずです。
ぜひ、今一度、あなたの商品・サービスをもう一度見つめ直してみて、あなたにしか語れないストーリーを見つけ出しましょう!

監修者

監修者の写真

Null Japan株式会社 代表取締役

高村 勇太

プレゼン資料クリエイター/プレゼン資料の専門家

Microsoft® Officeスペシャリスト 認定

<略歴>

武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
⇒主な制作事例はこちら

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