ロゴデザインのコンペ資料を実例を交えてご紹介していきたいと思います。

多少ページを減らしたりしていますが、ほぼ実際にプレゼンした時のままのスライドとなっていますので、これからプレゼンしようとしている方の参考になればと思います。

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実録ロゴデザイン
プレゼンのスライド

まずはプレゼンに至る経緯をお伝えします。

今回はある企業様が20周年を迎えるということで、ロゴの刷新を図ることを計画し、コンペでロゴデザインを決めよう、ということで、お声がけいただきました。

事前に打ち合わせをさせていただき、お客様の意向やロゴデザインの刷新する背景などのお話を伺いました。

デザインに制約はなく、自由な提案を求められましたので、様々なロゴを提案させていただきました。

これより、実際に使用したスライドを見ていただきますが、見方としましては、左側にスライド、右側にプレゼン時に話した内容、下部に私の意図をお伝えしています。

※プレゼンでお話しした内容を全て入れると文字数が多くなってしまうため少し省略していますのでご了承ください

これより下がプレゼンの実例となります。

ロゴデザイン1
【表紙】
本日はこのような提案の機会を与えていただき誠にありがとうございます。
早速ではございますが、始めさせていただきます。

今回はロゴデザインのプレゼンなので、ロゴのデザインに集中してもらうため、表紙デザインはあえてシンプルにしました。

ロゴデザイン2
【1ページ目】
本日のプレゼンテーションの内容はこちらになります。

インデックスを見てもらうことで、どのような流れで、どんなボリュームのプレゼンなのかを把握してもらい、安心してもらうことを目的としてます。

ロゴデザイン3
【2ページ目】
はじめに与件の整理と、現在のロゴについて確認させていただきます。
与件の整理としまして、
・20周年という大きな節目にCIの刷新
・未来を見据えたデザイン
とのご要望がございました。
現在使用されているロゴは、信頼や誠実を表す「青色」を使用し、「e」の部分の色を変えることで、メリハリをつけたデザインとなっており、スピード感のあるアンダーラインによってその下にあるタグラインとの整合性が図られたロゴとなっております。

与件を再度確認することで、しっかりと今回の目的を把握していることを伝え、現在のロゴについて肯定的に捉えることで、決して今までのものを否定した上でのロゴデザインではないことを伝えます。

ロゴデザイン4
【3ページ目】
CIデザインのためのコンセプトを設定する前に御社について、確認させていただきます。
御社は、ITソリューション関連製品の販売やコンサルティングなどのサービス業務など幅広くサポートできることが、最大の強みであるとのことを認識いたしました。
企業風土につきましてもとても風通しが良く、社内の雰囲気を大切にされ、人を大切にされている印象を受けました。
さらに、Society5.0という新しい社会に対しても価値とサービスを提供していくことを目指し、事業を展開されていく、とのことでした。

ロゴを制作するには、コンセプトが必要です。そしてコンセプトを設定するための前段階として、根拠づけとなるページです。どのような考えや経緯のもと、これから提案するコンセプトへと至ったのかを伝えています。

ロゴデザイン5
【4ページ目】
また、御社は2020年までに社員様00名、売り上げ00億円を目指されています。
そして目標達成のために企業体質を変え、生産性を改善していくとのことで、CI刷新も同様の想いを込める必要があり、「成長」や「未来」といったものがひとつのキーワードになってくると考えました。

ここでもコンセプトを決定づけるための経緯をお伝えしていき、今後の企業の目標と、これから提案するロゴの親和性を高めます。

ロゴデザイン6
【5ページ目】
ヒアリング時には、人の繋がりを大切にされていたり、成長の継続、品格といったキーワードが出てきました。
そして、これまでの事前考察、さらにヒアリングの内容を精査し、検討した結果、
「つながり、成長、品格、信頼、未来」
というキーワードを導きだしました。

コンセプトとなるキーワードはわかりやすくシンプルなものをいくつか提案して、次のページで今回のコンセプトとなるキーワードを絞っていきます。

ロゴデザイン9
【6ページ目】
今回ご提案させていただくロゴは
「つながり」と「成長」
というコンセプトのもと、制作いたしました。
今後10年20年経っても色あせず、優れたロゴでありつづけること、シンプルにすっきりとまとまっていることを目指したロゴです。

コンセプトはシンプルに大胆に伝えるようにしましょう。

ロゴデザイン7
【7ページ目】
ここからは、ロゴのご提案をさせていただきます。
様々な方向性からスケッチをし、形を探りましたので、今回は全部で6案、ご提案させていただきます。

ロゴ制作などの場合、大切なことは背景を伝えることです。たとえば、丸が2個並んだロゴをいきなり提示されたら、手を抜いてると思いますよね。
でもそこに至るまでにいくつものスケッチをし、時間をかけ無駄なものを削ぎ落とした結果の形だとすると、急に、丸2つのロゴに価値が生まれてきます。
ですからちゃんと、その形にたどり着いた背景や意図を伝えるようにしましょう。

ロゴデザイン8
【8ページ目】
他社ではどんなロゴを使用しているのか確認いたしました。
ご覧の通り、ロゴマークがあるタイプとないタイプ、堅牢さを表すものとやわらかさを表すものなど多岐にわたっております。
このようにマトリックスにまとめることで、他社様のロゴを把握し、差別化を図り、明確なコンセプトのもと全く新しいロゴを制作いたしました。

マトリックス図は自分でロゴを制作する際にも、方向性を見つけるための指針になりますし、聞き手とその感覚を共有するために有効なツールとなります。

ロゴデザイン10
【9ページ目】
まず最初にご提案させていただくA案は、ネットウエイブの頭文字である「N」と「W」を使用し、右肩上がりに成長していく要素と、円を描きながらつながっていく要素を掛け合わせ、御社名との親和性を高めました。
様々なつながりを発展、深化させながら、上昇していく様をシンプルに表現することで、未来へ向かっていく力強さと先進性を表しています。
明度を抑えたシックな濃い藍色は品格を漂わせながらも堅実な印象を与え、黄色のラインは補色を使い、多様性を表しながらも藍色を際立たせる役割を担っています。

ロゴについては丁寧に説明していきます。ロゴについての意味をしっかりと把握してもらうことで、ロゴの価値を高めていきます。

ロゴデザイン11
【10ページ目】
こちらは、ロゴタイプと合わせたものです。
NとWはロゴマークとデザインを合わせることで統一感を演出しながらオリジナルなものとして仕上げています。
左下はモノクロバージョンになります
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴタイプとの組み合わせや、モノクロ、黒背景時などのパターンを提示することで、聞き手にロゴを採用したときのイメージをしやすくしています。

ロゴデザイン12
【11ページ目】
こちらは、ロゴマークを並列配置ではなく、上部に配置した際の見えかたです。

ロゴをロゴタイプの上部に配置した見え方を伝えることで、また別の角度からロゴを確認してもらいます。

ロゴデザイン13
【12ページ目】
こちらは、封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

大切なことは、そのロゴを採用したときのイメージが湧きやすいようにすることです。
なので、様々な方法で、ロゴのイメージを掴みやすいようにしましょう。

ロゴデザイン14
【13ページ目】
つづきましてB案です。
円が外へと広がっていく様は御社のこれからの成長を表し、また、逆に、円が真ん中に集まっていく様子からは、お客様が抱える様々な問題や悩みにフォーカスする、という意味があります。
真ん中に配置された頭文字のNが各要素とつながっていくことを表現し、コンセプトにある「つながり」を強く打ち出しています。
円が切れた箇所があるのは、御社の社内における風通しの良さを表現するため、開放的な円を使用しています。
青色は、現在使用されているロゴの青を踏襲することで、記憶の凝縮を試みながら、赤色は、つながりを象徴するガーネットというパワーストーンの色を使用しています。

ロゴデザイン15
【14ページ目】
ロゴタイプと合わせたものです。ロゴタイプは、細めのフォントで、先進的でなじみやすいロゴを目指しました。
左下はモノクロバージョンになります。
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴデザイン16
【15ページ目】
ロゴマークを上部に配置した際の見えかたです。

ロゴデザイン17
【16ページ目】
封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

ロゴデザイン18
【17ページ目】
C案は「N」の頭文字を抱いた、鶴をモチーフにくだけた親しみやすさを込め、これまでの20年の歴史を大切にしながら、さらに飛躍するイメージを想起させるものとしています。
鶴は、長寿と繁栄のシンボルとして親しまれています。助走をつけて飛び跳ねるような「N」の躍動感と、鶴の鳴き声が「天に届く」と言われていることから御社のサービスが多くの方に届き、喜んでもらえることをこのロゴに込めました。
青と水色は、現在使用されているロゴの色をそのまま使用しています。
これまでの足跡と、今回、ロゴを刷新することで、未来への期待感を表現しています。

ロゴデザイン19
【18ページ目】
ロゴタイプと合わせたものです。ロゴタイプは、サンセリフ体に一部セリフを追加することで、品格が漂うフォントとしました。
左下はモノクロバージョンになります
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴデザイン20
【19ページ目】
ロゴマークを上部に配置した際の見えかたです。

ロゴデザイン21
【20ページ目】
封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

ロゴデザイン22
【21ページ目】
D案は、古代より進化を遂げている「花」をモチーフに、多様化するこれからの時代にも柔軟に適応し、さらに進化をとげる御社の発展を表現しています。
等間隔に広がる真ん中の円は、繋がりや成長を表し、花が成長する過程を可視化して、より深みのあるロゴになるよう心がけました。
使用している4色は、それぞれ、空、海、草木、大地を表しており、様々な環境を意味しています。様々な環境には様々な問題が内包されています。そういった問題に対応し、解決する御社の力強さを表しました。
またグリーンITにも積極的に取り組まれていることからモチーフの花や、色使いによって、サスティナビリティも表現しています。

ロゴデザイン23
【22ページ目】
ロゴタイプと合わせたものです。ロゴタイプは、C案と同じもので、花を支える茎のように、細めのフォントでロゴのボリューム感との対比を図っています。
左下はモノクロバージョンになります
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴデザイン24
【23ページ目】
ロゴマークを上部に配置した際の見えかたです。

ロゴデザイン25
【24ページ目】
封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

ロゴデザイン26
【25ページ目】
E案は、調和や親しみ、広がりを表す円をシンボリックに使用し、円が連続することで、つながっていく様子を表しています。
「N」の真ん中で段違いになっている部分は、人と人が手を取るように、また、企業と企業の結びつきも意味し、それらをシンプルに表現しています。
「N」の先端にある太陽のような星のような光を表すマークはシンプルな構成のロゴに個性を与えながらも未来に輝く光を意味し、目的や目標を見失わないための光でもあり、御社の発展を明るく照らす光でもあります。
使用している赤色は、B案でも使用しているつながりを意味するガーネットの赤色を使用しています。

ロゴデザイン27
【26ページ目】
ロゴタイプと合わせたものです。
ロゴタイプは、C案と同じもので、細めのフォントで、全体的にシンプルでスッキリとした印象になるようにしました。
左下はモノクロバージョンになります
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴデザイン28
【27ページ目】
ロゴマークを上部に配置した際の見えかたです。

ロゴデザイン29
【28ページ目】
封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

ロゴデザイン30
【29ページ目】
F案は、六角形をモチーフに制作いたしました。
宇宙技術への応用も検討されている六角形はとても機能的であると同時に合理的な形をしており、建築では軽くて強度のある「ハニカム構造」とし活用されています。
まる、さんかく、しかく、の中で最も安定した力を発揮する六角形を「N」と「W」のイニシャルで構成し、強いつながりと御社の安定した発展を表しています。
左右に少し飛び出た線は拡張性を意味しており、ここで完結せずに、新たな繋がりを構築し、さらにどんどんと伸びていくこと表現しています。
使用している色は、下の青は現在、使われているロゴの色を使い、これまでの御社の基礎となる部分を表しています。上部で使用している黒は、色の中では一番強い色です。そんな黒を使い、御社がCIの刷新を図る強い想いとこれからも成長し続ける力強さを表現しています。

ロゴデザイン31
【30ページ目】
こちらは、ロゴタイプと合わせたものです。ロゴタイプは、NとWをロゴマークと色を合わせながら、ひとつ太いフォントを使用することで、ロゴマークとリンクするようにしました。
左下はモノクロバージョンになります
右下は黒背景時のイメージになります。

ロゴデザイン32
【31ページ目】
ロゴマークを上部に配置した際の見えかたです。

ロゴデザイン33
【32ページ目】
封筒や名刺を制作した場合の印刷イメージです。

ロゴデザイン34
【33ページ目】
最後は、20周年ロゴのご提案です。

ロゴデザイン35
【34ページ目】
20周年をあらわすロゴマークは3案ご用意いたしましたので、順番にご説明させていただきます。
こちらは、品格を保ちながらも、20周年から未来へと向かう様子を表しています。

ロゴデザイン36
【35ページ目】
こちらは、ポップな雰囲気を表現し、20周年をにぎやかに迎える印象を与えつつも寒色を使うことで、派手になりすぎないようにしています。

ロゴデザイン37
【36ページ目】
こちらはバッジ型になっており、あらゆる媒体で使用しても目立つように意識しました。品格とシックさを併せ持った色使いとなっています。

ロゴデザイン38
【37ページ目】
こちらの6つはシンプルな構成とし、さらに各ロゴを採用していただいた場合のロゴとリンクするようなデザインとなっております。

ロゴデザイン41
【38ページ目】
弊社の提案は以上となります。
ロゴ制作はデザイナーの作品作りではありません。
御社のご意見やご要望をお聞きし、私たちなりの意見もお伝えしながら、御社にとって、もっとも良いものを丁寧に作り上げていきますので、是非とも私たちにお任せください。
ご清聴いただきありがとうございました。

最後の挨拶のときには「ご清聴ありがとうございました」といったスライドではなく、これまでの提案をまとめたスライドなどで、より印象に残るように工夫しましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

細かい説明や、見積り部分など、多少省いた箇所もありますが、だいたいこんな流れでプレゼンを進めました。

これからプレゼン資料をつくろうとしているあなたのお役に立てましたら嬉しいです。

監修者

監修者の写真

Null Japan株式会社 代表取締役

高村 勇太

プレゼン資料クリエイター/プレゼン資料の専門家

Microsoft® Officeスペシャリスト 認定

<略歴>

武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
⇒主な制作事例はこちら

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