いきなりですが質問です。
あなたはプレゼンテーションで、専門用語ばかり使っていませんか?
難しい言い回しをしていませんか?
どうですか?
ちょっと考えてみてください。
もしかしたら、これらのことが原因で聞き手が理解できない状況を生み出してしまっているかもしれません。
プレゼンテーションの基本は
「とにかくわかりやすく!!」
です。
でもわかりやすく、と言われても「自分ではわかりやすく作っているつもりなんだよ」となっちゃいますよね。
そんなとき必要なことが「聴き手の立場に立つこと」と「自問自答を続けること」なんです。
聴き手の立場に立って考え、本当にその表現で伝わるのか、を自問自答することで、一番わかりやすい表現まで言葉を分解していくことが重要な作業になってきます。
誰でも簡単にきれいなプレゼン資料が作れる
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目次
プレゼンの基本を知らないとわかりにくい資料になる
聞き手にとって初めて聞くような言葉を使っている
私はプレゼン資料を制作する仕事をしていますので、様々なプレゼン資料を目にする機会があります。
中には、とてもシンプルに作られていて、こちらがアドバイスする必要もないほどわかりやすく作られたものもありますが、多くの場合、とても難しい内容や言葉で作られています。
難しい内容というのは、専門用語だけではありません。
最近多いのは横文字を多用しているものです。
「アセット」「アライアンス」「インタラクティブ」「コンセンサンス」
など例を挙げればきりがありませんが、とにかく横文字が多い!
そしてよくわからん!!
「インタラクティブ」
なんて絶対かむでしょ!
と言いたくなりますが、横文字を使用する人が多いんですよね。
このように横文字や専門用語を使ってしまう原因は3つ考えられます。
ひとつ目は、簡潔に説明しようというものです。
プレゼンスライドを簡潔にするには文字数を少なくする必要があると考え、日本語でダラダラ説明するよりも横文字でスタイリッシュに説明した方がよい、と判断されたものです。
ふたつ目は、聞き手のことが見えていない、ということです。
つまり、自分が話したいように話す、といった話し手主体のプレゼンになっていることです。
みっつ目は、簡単な言葉や表現を使うことで、自分の専門性や権威性が失われることが怖い、ということです。
専門性が失われるのが怖い
先日、マーケティング会社の営業資料を作成したんですが、マーケティング系って横文字の専門用語が多いんですよね。
「リードジェネレーション」「LP」「ペルソナ」「LTV」
とか。
エグザイルファミリー?
ってぐらい、なんかかっこいい横文字が並ぶんですよ。
そこで私は、依頼していただいたお客さまに聞いてみたんです。
お客さま:「そうですね、マーケティング担当が多いですね」
私:「そうですか。ではマーケティングに詳しい方たちなんですね」
お客さま:「でも、中には担当になったばかりで”ペルソナ”も知らない人もいます」
(”ペルソナ”とは商品やサービスの典型的なユーザー像のことを指し、マーケティングに少しでも興味がある人は必ず知っている言葉)
私:「えっ?”ペルソナ”を知らないってことはほとんどマーケティングのことを知らないってことですね。」
お客さま:「そうですね。」
私:「それなら、もっと簡単な言葉で説明したほうが良いと思いますよ。」
お客さま:「う〜ん・・・」
私:「簡単な言葉を使うと専門性がないと思われそうで怖いですか?」
お客さま:「そうですね・・・」
といったやり取りがありました。
このお客さまが特別、専門性にこだわっているわけではなくて、多くの方が自分の専門性にプライドがあり自信があるため、専門性が損なわれることに恐れを抱いているんです。
難しい言葉の方が専門性を示すことができるでしょ!
専門性や権威性を示すために、専門用語を使ったり、難しい言い回しを使うことは決して悪いことではないと思います。
プレゼンをするっていうことは、その道のプロなんだからできるわけですし、商品・サービスを販売する場合には誰よりもそのことについて詳しいはずです。
それなのに、あまりにも簡単な言葉を使いすぎては、聴き手からしたら「この人本当に大丈夫か?」と疑われてしまうかもしれないですよね。
なので、難しい言葉を使うこと自体は否定しません。
でも難しい言葉を使うなら、説明する必要があると思うんです。
なぜなら、プレゼンをする一番の目的は、あなたの権威性や専門性を示すことではなく、聴き手に十分理解してもらったうえで、提案を受け入れてもらうことだからです。
糸井重里さんは著書「インターネット的(PHP文庫)」で次のように書いています。
────わざわざわかりにくくしているために、わからなくなる、通じにくくしているために、通じなくなっている、ということをとにかくやめようじゃないか、と。
知識や思考を武器にして自分を認めさせようというような場では、みんなでわざわざわかりにくいことを言い合ってることが多いですよね。
また、アメリカのある弁護士は、訴訟に勝つにはシンプルさが重要だと言います。
法律用語を使わずに、法律用語がわからない友人に手紙を書くように伝えると、勝率が上がったというのです。出典:「ザ・コピーライティング(岩波書店)」ジョン・ケープルズ
難しい言葉は聴き手に、大きな負担をかけることになります。
聞き手は内容を理解するまえに、その言葉の意味を前後の文脈から考え出すことに脳を働かせることになるんです。
そうなってしまっては、ちゃんとプレゼンを聴いて理解してもらうことが難しくなります。
きっと、そんなことを望んでいるプレゼンターはいないはずです。
だからこそ、できる限りわかりやすい言葉や表現で伝えるようにすることが、プレゼンで勝率をあげるコツなんです。
難しい言葉をわかりやすく表現するためには
わかりやすくするための考え方
先ほど、横文字や専門用語を使ってしまう原因として、「簡潔に短く説明しようとするため」とお伝えしました。
少しプレゼンについて学んだことがあれば、「シンプルに簡潔に伝える」ということをご存知かもしれません。
ダラダラと長い説明や、冗長な表現で聞き手を飽きさせないように、簡潔に伝えるべきだということです。
私自身もシンプルにプレゼンスライドを作ることを心がけていますので、この考え方には大賛成です。
ただ、プレゼンの場合「簡潔」という言葉の定義が少し違うんです。
「簡潔」とは要点だけ話したり、必要最低限の説明をすることではないんです。
プレゼンでいうところの「簡潔」とは、無駄な情報や要素を取り除き、最短距離で明確に伝えること、だと私は考えています。
そのためには、プレゼンの時間が許す限り、多少説明が長くなっても、しっかりと丁寧に伝えるべきだと思います。
たとえば
という表現は一見すると簡潔にまとめられていて、すっきりとわかりやすく表現しているように感じます。
でも本当にそうでしょうか?
相手がマーケティングについて詳しくなければ、言葉の意味を想像することすらも難しいのではないでしょうか?
だったら、少し長くても
といったようにわかりやすい言葉で、相手が理解できる言葉で伝えるべきではないでしょうか。
ただし、余計な言葉は必要ないので、消してしまっても全体の意味が通るようなら、消去して「簡潔」にしていく作業も忘れないようにしましょう。
例えば先程の例では少し余計な部分が含まれているので
とすると、スッキリしますよね。
このように、専門用語や難解な言葉は一度分解して、誰でもわかる言葉にしてから、余計な部分をそぎ落としていく作業が必要となってくるのです。
わかりやすい表現にするためにもう一つ気をつけるべきこと
難しい言葉や専門用語を避けた方がよい、ということをお伝えしてきましたが、もうひとつ重要なことがあります。
これもどうしても覚えておいてほしいことです。
それが、
「自問自答を繰り返す」
ということです。
本当に大切なことですからもう一度言います。
自問自答を繰り返してください。
どういうことかと言いますと、
「それはどういうこと?」と
「それはこういうことです。」
を繰り返し自分に問いかけて、もっとわかりやすい表現を探していく、ということです。
たとえば、会計ソフトの説明をするとします。
────効率化ってどういうこと?
「請求書やレシートをスマートフォンのカメラで写真を撮って取り込むことができ、一括管理することができるので、オンラインで簡単に経費清算を行うことができます。」
────オンラインで簡単に経費精算を行うってどういうこと?
「クレジットカードとも連携していて自動的に取り込み、計算をしてくれます。」
────自動的に計算してくれるとどうなるの?
「経費精算にとられる時間を減らすことができますし、手書きや手打ちでの間違いをなくしてくれます。」
────時間を減らし、間違いをなくすとどうなるの?
「営業担当者の負担を減らすことができるので、自分の業務により時間をさくことができます。また、経理部の負担も減らすことができるので、新入社員を経理部で多くとる必要がなくなります」
────経理部の人員を減らすとどうなるの?
「その分、営業やサポートの人数を増やすことができるので、企業の利益に直結することができます。」
と、このようにどんどんと自分に質問していきましょう。
そうすることで、本当に伝えたいことが見えてきますし、相手にとってどんなメリットがあるのかも見えてきます。
この会計ソフトを説明するなら、
そのため、経理部の負担を減らすことができるので、営業部により多くの人員を配置することができ、会社の利益に直結します。」
といった説明になるわけです。
これは、プレゼンだけでなく、セールスライティングでもブログでも書籍でも同じです。
誰かに何かを伝えるということは、相手の想像力に任せるのではなく、誰でも理解できるレベルまで掘り下げていくことがとっても重要です。
さらに気をつけていただきたいのが、
「効率的、機能的、合理的、効果的」
といった言葉はとても便利なので、困った時には使いたくなりますが、実際にはこれらの言葉は何も伝えていません。
「毎朝ラジオ体操をすることが、健康に効果的です。」
といわれても効果的って具体的にどういうことなの?となります。
便利な言葉に逃げないようにして、具体的に説明してあげるようにしてくださいね。
そうすることで、あなたのプレゼンは今までよりももっと効果的になることでしょう。
プレゼンの基本のまとめ
プレゼンの基本は、「聴き手のことを考える」ということです。
聴き手のことを考えるということは、聴き手が理解しやすいプレゼンでなくてはいけません。
難しい言葉や専門用語をたくさん使って、あなたの専門性や権威性を示すほどに、聴き手はあなたへの興味を失っていくことになります。
そうならないためにも、わかりやすい言葉や表現を心がけることが大切です。
また、自問自答も忘れずにして、少し長くなってもいいので、簡単な言葉で済まそうとしないようにしてください。
もちろん、ダラダラと話すことはNGで、簡潔に伝える努力もしなくてはいけません。
「伝える内容は長くてもいいけど、簡潔に。」 監修者 <略歴> 武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
なんて言われると難しく聞こえますが、ようするに無駄なことを伝えることは避けて、聴き手にわかりやすく伝わることをモットーにすれば、大丈夫ですから、ぜひ実践してみてください。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
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