商談の際、大きな役割を果たすのが営業資料です。単なる資料だと思うかもしれませんが、商談の場ではもちろん、提案先が稟議にかける際にも営業資料は他の資料と一緒に回ります。商談の場に立っていた社員は当然一緒に回ることはできません。
営業資料がわかりやすいかどうかで、契約に繋がるか否かも左右されます。
この記事では、なぜ営業資料がこんなにも注目されているのか、営業資料の適切な構成とはどのようなものか、また、営業資料に盛り込むべき要素はどのようなものか、解説していきます。
適切な営業資料を作り、商談の成果をあげたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
誰でも簡単にきれいなプレゼン資料が作れる
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目次
営業資料が重要視される理由
営業資料とは、自社や、自社製品・サービスの魅力や、導入した際のメリットを伝えるための資料です。自社パンフレットや製品パンフレット、価格表、プレゼン資料、企画書なども営業資料に入ります。
営業資料を用いると、写真や図、テキストを組み合わせ視覚に訴えてアピールできます。口頭だけで説明するよりもお客様に伝わりやすくなります。画像や図、テキストを組み合わせたわかりやすい資料で、製品・サービスの特長を伝えることで、お客様からの信頼度を高めたり、興味をひいたりでき、売上向上が期待できます。
パワーポイントのようにパソコンやタブレットで開ける形式で作ることで、編集や共有も簡単です。オンライン会議の場でも画面共有でき、効果的に商談やプレゼンテーションを進めることができます。提案先のニーズに合わせて営業資料をカスタマイズすることで、よりお客様の状況に合わせた提案ができます。
ここでは、なぜ近年営業資料が重要視されているのか、特にスライド作成ソフトを使用した資料について、3つの観点から説明します。
理由①社内で検討する際に何度も見返すため
ひとつ目の理由は、「社内で検討する際に何度も見返すため」です。
まず、営業資料をきちんと作ることで、どのような提案をお客様にするのかがはっきりします。営業資料がお客様とやり取りをする際のベースの資料となり、対応する上で何度も見返すものとなります。
提案の内容を資料の形でまとめていないと、今何について話しているのか、双方が共通の認識を持つことができず、話がずれてしまいます。
また、営業資料を作る際、誰かが作ったものを何のチェックもせずにそのままお客様の元へ持っていくことはまずないでしょう。必ず、社内で、その営業資料はわかりやすくできているか、データや見積もりの額に間違いはないか、チェックをするはずです。
このように、スライド作成ソフトで作った資料であれば、配布も、修正したものを再度確認してもらうことも簡単です。
紙の資料を配った場合、配る人数分印刷しなくてはならず、修正の確認のために再度印刷して配り直すとなると、手間もコストもかかります。また、紙の資料を見返そうとすると、どうしても前に書いた書き込みなどが目に入り、影響されてしまいます。
このような点から、社内で検討する際にも、スライド作成ソフトで作られた営業資料が重要視されています。
理由②属人化の解消が期待できるため
ふたつ目の理由は、「属人化の解消が期待できるため」です。
属人化とは、ある特定の業務において、進行状況や業務の手順、顧客先の情報などが社内で共有されておらず、その業務の担当者しか把握していない状況を指します。
業務が属人化してしまうと、担当者が体調不良で出勤できない、電車が遅延して約束の時間に間に合わないなどといった場合に、代わりの人を立てられません。また、お客様から問い合わせがあっても、担当者が不在ですぐに答えられないなど、業務に支障を及ぼします。担当者によって対応に差が出る場合も考えられます。
このようなことが重なると、お客様からの信頼を失う原因になりかねません。
営業資料が作られていることで、どのような提案をしているのかが誰の目にも明らかであり、担当者がいないと何もわからない、担当者によって対応が違うなどのトラブルを避けられます。
また、スライド作成ソフトで作られた資料であれば、ネット環境さえあれば共有が簡単です。社内クラウドに保存しておいて、関係者なら誰でも見られるようにすることもできます。
理由③オンラインの提案で視線を集められるため
先にも述べたように、最近ではオンラインでの会議や商談も増えています。
オンライン会議では、画面共有を行い、資料をお客様に見せます。お客様は、画面共有された資料を見ながら話を聞くことになるので、どのような資料を見せるかによって、会議や商談の結果が左右されます。
このような時、きちんと作り込まれた営業資料があれば、写真や図、テキストを使って、視覚的に訴えることができます。
具体的な数字がわかりやすい分、契約に繋がる可能性も高まります。
営業資料を制作する前に
いきなりですが、あなたは平日の朝、いつもの道を通勤していると、見知らぬ異性の人からいきなりラブレターを手渡されました。
中身を見てみると、自分がどういう人間で、どういった過去があって、どんな展望があるのかが、たくさん書かれていました。
どうですか?
めちゃくちゃ怖くないですか!?
営業資料も同じように、自社のことばかり書かれていては、あまり読む気がしません。
もちろん、状況は全く違いますよ。
見知らぬ人からもらうラブレターと、なんとなく知っている企業から営業を受けるのとでは、全く違いますし、もしかしたら相手は、あなたの会社の商品・サービスに興味があって、もっと知りたいと思ってくれているかもしれません。
でも、そんな場合でも、自分の会社のことばかり書かれた営業資料ではなく、相手のことを考えた営業資料を制作することが大切なんです。
なぜなら、どんな人でも、一番興味があるのは自分のことだからです。
自分にとってどんなメリットがあるのかが知りたいんです。
営業資料で顧客の心をひきつける要素
営業資料ではお客さんのメリットを伝える
ちょっとお客さんの立場になってみてください。
あなたに商品やサービスをセールスしようとしている営業マンが、社長の理念とか、会社の使命とか、社歴なんかを説明しはじめたらどうでしょうか?
別に知りたくないですよね?
というかよっぽどのファンでもない限り、あまり興味を持てないと思います。
もちろん、これらの情報はまったく必要ない、というわけではありません。
問題なのは、話す順番なんです。
いきなり自社のことを話し始めるのではなく、まずはお客さんにとってのメリットを伝えるようにしましょう。
その商品・サービスがお客さんのどんな悩みや苦労を解決するのか、またどんな素晴らしい未来を提供できるのかを伝えるようにしてください。
たとえば、オフィスチェアーを販売する場合、ヘッドレストの角度調整、アームレストの高さ調整、座面の位置調整、などの機能部分を伝えるよりも、
「長時間のデスクワークでも肩こりになりづらい」
とお客さんにとってのメリットを伝えたほうが、肩こりに悩んでいる人の興味をひくことができますよね。
メリットを先に伝えて、お客さんの興味をひくことで、その先の情報をちゃんと聞いてもらえるようになるんです。
メリットについてもっと知りたい方はこちら↓↓↓
⇒参考:「会社案内の制作で絶対に気をつけて欲しいたった1つのこと」
信頼を得るために大切なこと
営業資料では、最初にお客さんにとってのメリットを伝えるんですが、もちろんそれだけでは信用してもらえません。
「この下着をつければ1ヶ月でくびれができます」
と言われても、誰も信じませんよね。
だってなんの根拠もありませんから。
特に現代では様々な商品・サービスが氾濫していて、詐欺まがいの商品が多く存在していますので、購入する側も慎重になっています。
営業資料を使って営業するということは、最終的には消費品やサービスを購入してもらうことを目的としていますが、その前に信頼してもらう必要がありますよね。
そして、そのためには、その他多くの情報を伝える必要があるんです。
例えば、「実績」や「お客様の声」は信頼を獲得するための大切な情報です。
あなたもAmazonで買い物をする時、ほぼ必ずレビューを確認しているのではないでしょうか?
ですから、信頼を獲得するための根拠として、お客様の声や実績、具体的な数字を伝えるようにしてくださいね。
ちなみに数字を伝える際には、
「これまでに5,000人以上が愛用」
と数字を省略するよりも、
「これまでに5,126人が愛用」
と具体的に数字を提示することで信頼感が高まる、という検証結果も報告されていますので、数字はできるだけ正確に伝えるようにしましょう。
物語を語ろう
物語ってなに?
って感じですよね。
物語というのは、桃太郎やかぐや姫のような物語ではなく、ここでは「背景」のことを指します。
背景とはその商品が生まれた経緯や、開発者の想いなどのことです。
そしてその背景を伝えることが大切なんです。
「自分の想いをお客さんに伝えるなんてダサいし、古くせ〜よ〜」なんて思うかもしれませんが、決してそんなことはないんです。
私は以前、実績も経験も資金もない状態で「そのビジネスにかける想い」だけを伝えて取引が成立したことがありますし、オーガニック化粧品を製造販売しているメーカーは創業者が自身の肌トラブルを解決するために研究し開発した商品であることを伝え、お客さんの共感を得ています。
なぜ、商品やサービスにまつわる背景を伝えることが大切なのかといいますと、
私たちは物語に触れると、共感を抱くからなんです。
たとえば、この写真のバッグを見てどう感じますか?
くたびれたバッグ?
デザインが古臭い?
汚い?
オシャレじゃない?
臭いそう?
実はこのバッグ、5年前に亡くなったおじいちゃんがいつも使っていたもので、それを今でも大切に使っているんです。
って聞いたらどう感じますか?
まったく別の価値が生まれ、世界に一つだけの素晴らしいバッグに思えてきませんか?
その商品にまつわる背景、つまり物語を語るということはこういうことなんです。
それまでに感じていた価値を180度ひっくり返すことができるほどの力を秘めているんです。
だからこそ、自社商品やサービスに対する想いや情熱、開発までの苦労や乗り越えた壁を伝えることで、より商品・サービスの価値を高めてくれるんです。
営業資料を作成する際の構成
営業資料を作成する場合には、「端的に」「情報を盛り込みすぎない」を意識しましょう。
以下にあげる項目全てで1ページずつ使っても14ページになります。
10ページを過ぎたあたりから「量が多いな」と感じるようになりますので、ボリュームが大きくなり過ぎないよう注意が必要です。
だからといって、必要な情報を抜いてしまっては、こちらの意図が伝わらない営業資料ができてしまいます。
情報を厳選し、端的ながらも提案先の心に響く資料作りを心がけてください。
①表紙
表紙は最初に目に入る大事な要素です。タイトルや提案先の企業名を入れましょう。
写真を使ったり、コーポレートカラーを使ったりして、自社ホームページやLPと統一感を持たせるとよいです。
②サービス概要
製品・サービスの具体的な内容に入る前に、その製品・サービスの概要や、導入実績を述べます。
これからどんな話が始まるのか、相手に伝えましょう。
③よくある課題
その製品・サービスを利用する人たちが抱えている悩みの代表的なものを事例として挙げましょう。
「自社にも共通する悩みだ」「自分もそのように感じていた」と思わせることで、お客様が自分ごととしてその後の話を聞いてくれます。
そのためにも、営業資料を作る前段階でのヒアリングは重要です。
④サービス紹介
③で述べたよくある課題が、自社製品・サービスを使うことで解決できることを紹介します。
どのように解決し、そのことでどんなメリットが得られるのかを端的に述べます。
⑤サービスの詳細
④で述べた自社製品・サービスを使って解決できる問題について、ひとつひとつ具体的に述べていきます。
自社製品・サービスならではの強みも紹介できるとよいでしょう。
⑥導入後に得られる効果
自社製品・サービスを導入したことで、どのような効果が出たのかを述べます。
「問い合わせが30%増えました」「〇〇の業務にかかる時間が1時間短縮されました」など具体的な数字を出して、説得力を持たせましょう。
⑦競合比較
競合製品、競合サービス提供他社がある場合には、自社ならではの強みをアピールしましょう。
また、比較の視点は比較検討している顧客からよく聞かれることを中心に資料を作ります。
比較の際、他社を落とすような表現をしないようにしましょう。巡り巡って、自社のイメージダウンにつながります。
⑧事例紹介
実際に自社製品・サービスを導入した事例を紹介します。
抱えている問題や予算、企業規模など、何かしら提案先の企業と共通点がある企業の導入事例を紹介するとよいでしょう。
お客様が、導入後のイメージを抱きやすくなります。
⑨料金体系
導入イメージがわいたところで、実際にどれくらいの費用がかかるのかを説明します。
複数プランがある場合は、プランによる金額・サービス内容の違いがわかるように表にまとめます。
それぞれのプランについて、おすすめできる対象を入れておくと、「自社で導入するならこのプランかな」という目星もつけやすくなります。
⑩費用対効果
料金体系だけを見せると、「結構高いな…」と思われることもあります。
そこで、料金体系を提示したあとには、費用対効果を見せることが大切です。
実際の事例に基づいて、「弊社サービスを△△円で導入したあと、◯◯円利益が出ました」と、利益が上がったり、作業効率が上がったりしている姿を紹介しましょう。
かかる費用と増える売上、または削減できるコストをはっきりと示すことで、契約に至る可能性が高くなります。
⑪ご利用の流れ
問い合わせから契約、納品までの流れをわかりやすく表で示します。それぞれの段階で何をするのか具体的に示すことで、発注する側も今後の流れを把握でき、安心です。
⑫よくあるご質問
よくある質問は、Q&Aの形式にしてまとめておきましょう。質問は、具体的な製品・サービスの提案がなされるこの時期だからこそ気になるもの、他社からこの時期に聞かれたことを中心にまとめます。
⑬会社概要
会社の設立年、事業所数、従業員数など、自社に関する情報を簡潔にまとめます。
発注しても大丈夫な、きちんとした会社だということを示す効果があります。
⑭CTA
CTAとは、Call to Actionの略で、日本語にすると「行動喚起」などにあたります。
ここでは、営業資料を用いて提案を受けた企業が、問い合わせなど次の段階へ進むことを促します。
例えば、問い合わせフォームへのリンクを貼っておくなど、資料をみてそのまま次のアクションを起こせるようにするのもよいでしょう。
プロが作る営業資料の実例
ここまでで営業資料に盛り込むべき大切な要素についてお伝えしてきましたが、これだけで営業資料を制作することは難しいと思いますので、全体的な流れを掴んでいただけるように、サンプルをお見せしながら説明していきたいと思います。
この構成が絶対に正解、というわけではないのですが、あなたが営業資料を制作する際のヒントになればと思いますので、ご自身の扱っている商品やサービスを思い浮かべながらお読みください。
営業資料というと最近ではタブレットで見せていく形もありますし、スライドに映し出すというプレゼンタイプもありますが、今回は紙媒体で冊子タイプの営業資料ということでご紹介していきます。
先ほど例に挙げたオフィスチェアを製造・販売している会社で、導入してもらえる企業に向けての営業時に使用する営業資料を例として順番に説明していきます。
A4サイズの縦使いを想定して1ページづつ説明します。
ここで紹介する資料はあくまでも例の一つで、この記事のために制作したものなので、細かな内容は省いています。
営業資料は企業の資産となる大切な資料です。
その資料の顔となる表紙デザインは企業の顔ともいえる大切なページですので、企業カラーや商品・サービス内容に合ったデザインや色使いを心がけましょう。
1ページ目では、お客さんにどんな未来を提供できるのかを端的に伝えて、興味がひけるようなメッセージを考えます。
できるだけストレートにシンプルに伝えるようにしてください。
気をつけていただきたいのが、ここであまり詳しく説明しようとしないことです。このページで全てを伝えるのではなく、期待感を与えるページとなるように心がけましょう。
オフィスチェアのコンセプトを伝え、コンセプトの説明をすることで説得力が増していきます。
また、商品が生まれた背景なども伝えます。
例えば、この開発者はすごい腰痛に悩まされていて、その経験から椅子の開発に取り組んだなどの背景(物語)です。
もしもお客さん自身が自分の悩みに気付いていないのでしたら、ここでそれを伝えることも効果的です。
例えば座った時の姿勢の悪さから、様々な健康リスクかある、などを伝え、お客さんにオフィスチェアを検討するきっか与えるようにしましょう。
【3、4ページ目】
本製品を導入した際のお客さんにとってのメリットと商品についての説明を伝えていきます。
細かいスペックについてはここでは記載せず、後ろの方で詳細ページを用意しておく、というのもひとつの手です。
あまりにも情報を埋め込み過ぎてしまっては読む気を失わせてしまうことになりかねませんので注意しましょう。
ここでは、信頼を得るために、実績やお客さんの声などを記載しましょう。
その他にも、受賞歴や沿革や、この商品に対する開発者の想いを伝えることで、より商品の価値を高めることができます。
最後に、会社概要などの必要な情報を記載していきます。
さらに、お客さんが迷わないように明確な行動喚起を促すようにします。
ここでは、商品について聞きたいことがあるとき、この電話番号にかければよい、というのが一発でわかるようにしています。
表紙と調和しながらも少しトーンダウンしたデザインで、URLや住所、電話番号などの基本的な情報を記載します。
以上、営業資料の構成方法を順番に説明しました。
タブレットでもスライドを使ったプレゼン方式では見せ方が変わってきますが、先述したような内容と順番で構成を考えていくと、スムーズに資料を制作することができると思いますので、是非挑戦してみてくださいね。
営業資料のデザインについて知りたい方はこちら↓↓↓
営業資料の構成を理解し商談の成約率をアップさせよう
営業資料は自分本位で制作してはいけません。
ちゃんとお客さんの立場に立って、お客さんがストレスなく読み進められる工夫が大切です。
そのために、まずはお客さんに興味をもってもらうこと。
そして、信頼を得るための努力をすること。
これらを意識しながら営業資料を制作してみてくださいね。
監修者
<略歴>
武蔵野美術大学卒業後、東京都港区赤坂の設計事務所にてプレゼンテーション業務に従事。数億円のオフィスビルから数百億円の都市開発事業などの提案書およびプレゼンテーション資料の作成を手がける。
2016年より会社を設立し、2018年よりマーケティング、セールスライティングを取り入れたプレゼンテーション資料制作、コンサルティング事業を開始。
現在はプレゼンテーション資料を中心に広告やチラシ、営業資料などの様々な資料を手がけ、資料制作講座も開き、資料制作の方法なども伝えている。
⇒主な制作事例はこちら