AIに資料制作を任せても、なぜかうまくいかない……。そんな経験はありませんか?
しかし、だからといってAIが資料制作に使えないわけではありません。
うまく使えば、むしろ思考のスピードを一気に引き上げてくれる強力なパートナーになります。
ただし、使い方を間違えると期待外れの結果になり、結局、自分で全部やり直すはめになり、時間だけがかかってしまう、ということにもなります。
資料制作を専門にしている立場から言えば、AIは「代わりに作ってくれる存在」ではなく、「一緒に考える存在」として活用すれば、これまでよりもっと良い資料が作れるようになります!
本記事では、実務の現場でどのようにAIを活用しているのか、具体的なプロンプト例を交えながら紹介します。
※今回の記事はアドビ社のPR企画「みんなのAI活用」に参加して執筆しています。
目次
AIで資料を作っても、思ったほど時短にならない3つの理由
【理由1】AIに任せても、結局自分で作り直すことになるから
AIに資料制作をお願いすると、それっぽい内容の資料をつくってくれます。
例えば、あなたが新規事業の社内プレゼンをするための資料をつくることになったとします。
いきなりゼロから作るのは難しいので、AIに以下のように相談してみました。
「新規事業の提案資料の構成案を作成してください。」
すると、多くの場合、次のような王道の流れが提示されます。
- 市場環境
- 現状の課題
- 解決策の概要
- 実行プラン
- 期待効果
- 期待効果
いい感じに思えますよね?
まあ、普通だったらこの順番で伝えれば、間違いはないと思います。
でも、実際の経営会議でこの構成が使えるかというと、なかなか難しいのが現実です。
なぜなら、単に「情報を整理して伝える」だけでは、相手を動かすことはできないからです。
人は、ただ情報を与えられただけでは、なかなか「決断」や「行動」には至らないのです。
たとえば、社内向けの資料では、次のような論点が重要になります。
- なぜ“今”やる必要があるのか
- やらなかった場合の機会損失は何か
- 投資回収期間はどれくらいか
- 競合に対してどの程度優位に立てるのか
これらを、どの順番で提示するかによって、聴き手への印象は大きく変わります。
数字から入って具体的に理解させるのか。
「ストーリー」から入って共感を得るのか。
このように、どのようにして聴き手の心をつかむのか、どういった順番で伝えるのが一番効果的なのかを考える必要があります。
AIはそれっぽい順番を提示することはできます。しかし、あなたを取り巻く環境までを考慮して最適な戦略を判断することはできません。
【理由2】自分の想定とまったく違うアウトプットが出てくるから
資料は、それ単体で存在しているわけではありません。
- この資料はどういった会議で使われるのか
- これまでにどこまで説明が済んでいるのか
- 最終的な意思決定者は誰なのか
- 去の似た提案はどう評価されたのか
使える資料は、必ずこうした背景(前提条件)の上に成り立っています。
すでに多くの方がご存知かと思いますが、AIのアウトプットの精度は、こちらから投げる問いの精度で決まります。
人間同士であれば、無意識のうちに前提を共有しています。
しかしAIは違います。
AIには、あなたの頭の中は見えていません。
たとえば、あなたの頭の中では、次のような具体的な前提があるかもしれません。
- BtoB向け
- 価格帯は100万円以上
- 決裁者は部長クラス
- 課題は人材不足
- 競合は3社
しかし、これらは言葉にして伝えなければ、AIには伝わりません。その結果、「なんか違う」アウトプットが出てきてしまうのです。
これはAIの能力が低いのではなく、AIに伝える私たちの言語化が足りていないのです。
ここで重要なのは、自分がどれだけ前提を明確にできているかです。
つまり、あなた自身が、資料制作の前提条件をしっかり理解していないと、いつまでも納得のいくアウトプットはできません。
【理由3】資料制作は相手の立場に立って考えることが大切だから
資料制作は、常に相手視点で作る必要があります。
- その人は何に不安を感じているのか
- 何をもって「納得」と判断するのか
- どんな言葉に反応するのか
- どの数字に信頼を置くのか
たとえば、同じ提案でも、相手によって強調すべきポイントはまったく異なります。

AIは、膨大なデータから導き出された統計的な平均から回答を生成します。
しかし、残念ながら目の前の意思決定者の性格までは理解していません。
相手の立場に立って考えるという人間ならではの洞察力が求められる資料制作では、AIの活用に限界があるのです。
ただし、なるべく意思決定者の立場に立った回答をAIからもらうコツはあります。
それは、AIに特定の「人格」を指定して相談するという使い方です。
「保守的なCFOの立場で、以下の提案資料に対する懸念点を10個挙げてください。」
あるいは、
「攻めの経営者の立場で、この提案のポテンシャルを最大化する改善案を出してください。」
このようにAIに疑似人格をもたせることで、自分では気づけなかった「相手の視点」を客観的にシミュレーションできるようになり、思考の幅を広げることができます。
結局「丸投げ」は失敗する
AIを使っても時短にならないのは「考える工程」を丸ごと外注しようとするからです。
資料制作におけるAIの使い方は、考える工程を加速させるものであり、それだけで完結させるのは難しいということを覚えておいてください。
資料制作のプロはAIをこう使っている
AIを作業者ではなく壁打ち相手として使う
AIを作業者として使う限り、資料の完成度は頭打ちになると私は思っています。
なぜなら、資料制作の本質は「作ること」ではなく、「考えること」だからです。
ですから、私がAIを使うときは完成品を求めるのではなく、私では気づかない(考えつかない)アイデアやメッセージを与えてもらうために使っています。
AIは作業者ではなく、壁打ち相手として使う。このスタンスに変わってから、資料の質が確実に上がりました。
活用例1:構成の仮説出しに使う
資料づくりで最初につまずくのが、ゼロから始める構成設計です。
パワポを立ち上げて真っ白な画面をみていると、永遠に資料が完成しないんじゃないかという不安にかられますよね。
- どこから話を始めるか
- 何を強調するか
- どの順番で提示するか
しかも、人はどうしても思考のクセがあるので、これまでの経験があればあるほど「いつもこの順番で作っているから」と無意識のうちに同じパターンで構成案を考えてしまいがちです。
そこでAIの登場です。
たとえば、このようにプロンプトを投げます。
「新規事業提案資料の構成案を3パターン提示してください。それぞれ、アプローチの違いが明確になるようにしてください。」
すると、AIからは以下のようなバリエーションが返ってきます。
- 市場危機感から入る構成
- 競合優位性から入る構成
- 財務インパクトから入る構成
重要なのは、AIの案をそのまま使うことではありません。「自分が無意識に固定していた構成パターン」に気づくことです。
さらにもう一歩踏み込んでこう聞いてみましょう。
「この構成で経営層が納得しないとすれば、どこが弱い可能性がありますか?」
このように違和感や不足している部分を指摘してもらうことで、自分にはない視点でのアイデアを生み出すことができます。
構成の仮説を出し、それをさらに突っ込んで質問してみる。この往復が、資料の強度を上げる重要な作業となります。
活用例2:視点の抜け漏れチェックに使う
資料が弱くなる原因の一つとして、どうしても自分の立場から考えてしまう、作り手の視点の偏りがあります。
- 営業担当→売りやすさの視点から制作
- 事業責任者→成長性の視点から制作
- 財現場→運用負荷の視点から制作
しかし、実際の意思決定は複数の立場のバランスで決まることが多いので、1つの視点で作成すると伝わりにくく、理解してもらえない内容になることがあります。
そこで、AIに以下のように聞いてみると、別の視点での意見を教えてくれます。
「この提案を、保守的なCFOの立場で批判してください。」
「現場責任者の立場で、実行上の懸念点を挙げてください。」
すると、自分では優先度を低く見ていた論点が浮かび上がります。
- 初期投資回収の不透明さ
- 人材確保の難易度
- 既存業務への影響
このようにAIを壁打ち相手として活用することで、これまで見えていなかった視点が見えてくるようになります。
活用例3:説明のわかりにくさを検証する
資料は「正しいこと」を書けばいいわけではありません。もちろん誤った情報を伝えるのはNGですが、「相手に伝わること」が目的です。
自分では十分理解できる説明だと思っていても、第三者から見るとよく理解できないことがあります。
そこでAIに以下のように聞いてみましょう。
「専門知識がない読者にとってわかりにくい部分を具体的に挙げてください。」
ただ、この場合、ダラダラと長い説明になることもあります。その場合には、さらに以下のようにお願いしてみてください。
「今、出してくれた回答を1枚のスライドに収まるように、論点を3つに整理してください。」
そうすると要点をまとめてくれます。
もちろんこれで終わりではありません。
これらの内容を自分で確認して、情報をさらに付け加えたり、不要な部分を削除したりしてブラッシュアップしていくことが大切です。
「0→1」ではなく「1→10」で活用する
これまでお伝えしてきた通り、AIにゼロからすべてを任せようとすると、なかなか思うような結果は得られません。
もちろん、新しい発見をするためにゼロから投げることもあります。
ただ、ある程度、内容が固まっていたり、最終的に自分が伝えたいことが決まっていたりするのであれば、まずは仮説をぶつけてみて、AIの反応をみてみることも大切です。
「以下は私が考えた提案の仮説です。論理の飛躍があれば指摘してください。」
「この主張をより説得力のあるロジックに再構成してください。」
このように自分の考えに対して質問をぶつけると、AIが補強してくれます。
ゼロからではなく、既存案を磨く。
これが1→10の使い方です。
表現のバリエーションを広げる
AIは言い換えのバリエーション生成が得意なので、自分で構成や内容を決めて、表現をAIに広げてもらう方法も、とっても有効です。
「この文章を、より危機感が伝わるトーンに書き直してください。」
「同じ内容を、数字中心の説明に変換してください。」
「この主張を1枚のスライドに収まる分量に圧縮してください。」
自分一人では語彙やトーンがどうしても偏ってしまいがちですが、AIを「編集者」として活用することで、最も相手に刺さる「言葉選び」が可能になります。
一発で正解を出させない
AIに時短や効率だけを求めてしまうと、それなりの資料はできても、結果の出る資料をつくるのは難しくなってしまいます。
なので、面倒だとしても、以下のように最低3回はやり取りを繰り返すようにします。

具体的にはこんな感じでプロンプトを繰り返し投げてみてください。
【1回目】
「新規事業提案の構成案を出してください。」
【2回目】
「保守的な取締役の立場で懸念点を追加してください。」
【3回目】
「その懸念点を事前に潰すスライド案を追加してください。また、この事業をあまり詳しくない人でも理解できるようにしてください。」
これで資料の精度は大きく上がりますので、ぜひ試してみてください。
AI活用で気をつけるべきこと
AIの回答を鵜呑みにしない
AIは便利ですよね。
議事録の整理、アイデア出し、構成のたたき台づくり。
でも、提案資料や経営判断に関わる重要資料をそのままAI任せにするのはとても危険です。
なぜなら、AIは”もっともらしい嘘”(ハルシネーション)を生成することがあるからです。
たとえば、AIに市場調査を依頼すると、「日本のDX市場規模は2030年に◯兆円」といった具体的な数字が出てくることがあります。しかし、その出典が正しいとは限りません。
というか、私の感覚では間違った情報であることが多い気がします。
時として、AIは統計的にあり得そうな数字を生成し、こちらが求めている内容を創作することがあるんです。
とくに数字に関しては、間違った情報を鵜呑みにすると、非常に危険です。
相手の信頼を損なうだけではなく、自分自身が間違った方向へ誘導されてしまう恐れがあるからです。
だからこそ、必ず次のプロンプトを加えるようにしてください。
「数字やグラフなどは出典先のURLを明記してください」
こうすることで、自分の目で出典先を確かめることができます。もし、情報が間違っていたり不明瞭だったりした場合には、AIに尋ねると「すみません。間違っていました」という返答が返ってくるので、誤情報の混入を防ぐことができます。
数字や根拠となる情報が必要な場合には、必ず以下の3点を確かめるようにしてください。
- 数字は必ず出典確認
- グラフは一次情報を確認
- 引用は原文にあたる
社外秘・機密情報の扱いには慎重に
AI活用で見落とされがちなのが、情報管理です。
契約書、財務情報、未公開戦略、顧客データ。
これらをそのまま入力するのはとても危険です。
なぜなら、入力したデータがAIの学習に利用され、意図せず外部に漏えいしてしまう可能性があるからです。
ビジネスでAIを利用する際は、以下の確認が不可欠です。
- 利用規約の確認
- データ保持ポリシーの確認
- 社内ガイドラインの遵守
また、PDF資料を扱う場合も注意が必要です。
一見問題なさそうに見える資料でも、注記や脚注に機密情報が含まれている場合があります。
リスクを回避するために、私は以下の線引きを実践しています。
- 必要箇所のみ要約して入力する
- 匿名化してから分析する
- 機密度の高い資料はAIに渡さない
便利さと安全性はトレードオフになりがちです。
だからこそ、少しでも外部に出すのが怖い情報はAIに入力しないことをオススメします。
【PR】安心して使えるAcrobat AIアシスタント
社外秘・機密情報の扱いには十分注意する必要があることはご理解いただけたと思います。
ただ、AIを使う際に、それらの情報が入ったPDF内の必要箇所のみコピペして入力したり、匿名化して入力したりするのは正直とても面倒です。
このPDFをそのままAIに読み込ませることができたら、めちゃめちゃラクなのにな〜と思われる方も多いと思います。
そんな方にオススメなのが、Adobe Acrobat AIアシスタントです。
Acrobat AIアシスタントなら、機密情報の入ったPDFでも安全に読み込むことができます。
なぜなら、アドビのセキュリティ基準に準拠しており、アップロードされたドキュメントやAIとの対話データが外部のトレーニングデータとして利用されることがないからです。機密性の高いビジネス文書でも外部に漏れる心配はなく、安心して利用できます。
また、特別な指示をしない限り、PDFの内容のみを参照にしてくれるのも安心できるポイントですね。
他にも使うと便利な機能がたくさんあります!
自動要約による迅速な内容把握
ドキュメントを開くと同時に、AIが自動的に内容を解析し、概要と主要なトピックを提示します。
これにより、長い資料も全体像を瞬時に把握することができ、読むべき箇所の当たりをつけることが可能です。

複数PDF横断
ひとつのPDFファイルだけでなく、複数のPDFを同時に読み込ませて、それらを横断して生成AIで分析できるので、「それぞれの資料で言いたいことを要約して」と指示すれば、各スライドに共通するメッセージを抽出できます。
また、それぞれに共通したまとめメッセージを作成してもらうことも可能です。
複数のPDFを読み込ませるためには、まずPDFデータを1つ開いて、右側の「+」をクリックします。新しいウィンドウが表示されるので、そこに追加したいPDFを投げ込むだけでOKです。

Acrobat AIアシスタントなら、「誤字脱字」や「表記揺れ」「内容に矛盾点はないか」「わかりにくい表現はないか」などもチェックできます。
また、AIの回答のリンクから、資料の該当箇所にジャンプできます。
AIの回答だけでなく、資料の内容を即座に確認できるのも、便利なポイントです。
これまで社外秘情報を扱ったPDFはセキュリティの観点からAIに読ませることができず、人の目でチェックする必要がありましたが、AIアシスタントに任せれば、作業時間を大きく短縮することができます。
まとめ
AI時代だからこそ、資料制作でも人間の役割が重要になる
生成AIのおかげで、資料づくりはずいぶん楽になりました。
構成案も文章も、数秒で“それっぽいもの”が出てきます。
昔なら何時間もかかっていた作業が、一瞬で終わる。
これは本当にすごいことです。
でも、実際に仕事で使ってみると、こう感じることはありませんか?
「便利だけど、そのままでは使えない」
「整っているけど、なぜか弱い」
その理由はシンプルです。
AIは作ることは得意ですが、決めることはできないからです。
たとえば同じ提案でも、
事業責任者に出すのか、現場に出すのかで、強調すべきポイントはまったく変わります。
AIは一般的な答えは出せます。でも「この人に刺さるかどうか」まではわかりません。
だからこそ、人間の役割がなくなることはありません。
むしろ、AIがあるからこそ、考える力の差がはっきり出るようになります。
曖昧な問いを投げれば、曖昧な答えが返ってきます。
前提が整理されていなければ、出力もぼやけます。
つまり、AIを使うほど、自分がどれだけ考えているかが問われるのです。
AI時代だからこそ、資料制作でも人間の役割は、むしろ大きくなっているのだと私は思います。AIに任せっきりにならず、自分の思考力をAIと一緒に磨くようにしてみてください。
誰でも簡単にきれいなプレゼン資料が作れる
↓↓↓

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